特集 小児外科診療における合併症、偶発症-とっさの処置、その後の対応
開腹術後の腸重積症
田原 和典
1
,
藤田 拓郎
,
沓掛 真衣
,
朝長 高太郎
,
山田 洋平
,
大野 通暢
,
藤野 明浩
,
菱木 知郎
,
金森 豊
1国立成育医療研究センター 臓器・運動器病態外科部外科
キーワード:
開腹術
,
術後合併症
,
超音波診断
,
胆道閉鎖症
,
腸重積症
,
腹部X線診断
,
肝門部空腸吻合術
,
小腸切除
,
腹部CT
Keyword:
Biliary Atresia
,
Ultrasonography
,
Intussusception
,
Laparotomy
,
Portoenterostomy, Hepatic
,
Postoperative Complications
,
Radiography, Abdominal
pp.255-259
発行日 2019年3月25日
Published Date 2019/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/J00645.2019182060
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例1(生後2ヵ月、女児)。生後75日目に胆道閉塞症に対し葛西手術を施行したが、術後5日目より腹部膨満を認めた。また、術後6日目の腹部X線では腸管拡張像が認められ、術後7日目に術後麻痺性イレウスを疑い、イレウス管を挿入し、同日、腹部エコーを行ったところ、target signを確認し、腸重積症と診断された。緊急開腹手術が行われ、術中所見では回腸-回腸型の順行性腸重積を認め、Hutchinson手技で整復した。術後、経過は良好であった。症例2(11歳男児)。既往として先天性横隔膜ヘルニアに対する手術やNissen噴門形成術、また胃瘻造設術に対する複数回の開腹術があった。今回、画像上で門脈ガス血症を認め、絞扼性腸閉塞が疑われたため、緊急で腸閉塞解除術が行われた。しかし、術後14日目より発熱を認め、術後17日目の腹部X線はじめエコー、CT所見より腸重積症と診断された。緊急開腹術が施行され、術中所見では腸重積は2ヶ所確認でき、口側の病変はTreitz靱帯より20cm肛門側にあり、イレウス管を中心に順行性に腸管壁が二重に重積し、五重筒の腸管壁層となっていた。Hutchinson手技にて整復したが、回腸の病変は腸管の損傷が大きく、腸管を切除した。術後は全身状態が徐々に回復し、術後33日目に軽快退院となった。
Copyright© 2019 tokyo-igakusha.co.jp. All rights reserved.