発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004275102
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85歳男.外傷後,左下腹部腫瘤を自覚した.左下腹部には両上前腸骨棘の高さからやや尾側,左鼠径部よりやや頭側に直径6cm大の腫瘤を触知した.腹部超音波では,左腹直筋外側に,腹腔内から腹壁皮下へ突出する腫瘤を認めた.ヘルニア門は約3.7cmであった.腹部CTでは,腹腔内から左腹直筋の外縁と内腹斜筋,腹横筋の腱膜移行部間隙を通り,腹壁皮下にair densityを含む腸管の脱出を認めた.腹部MRI T1強調画像,T2強調画像共にlow intensityを示し,腹直筋外側で腹腔内臓器の脱出を認めた.内腹斜筋腱膜と腹横筋腱膜は明らかに欠損していた.高齢,外傷の影響による組織自体の損傷,ならびSpigelian hernia beltより尾側に発生,Hasselbach三角の脆弱さを伴っている可能性を考慮し,メッシュ法による修復術を施行した.術後は良好に経過し,3ヵ月を経たが再発は認められない
©Nankodo Co., Ltd., 2004