発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004275104
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腎細胞癌,あるいはnon-functionの副腎腫瘍との診断で手術を行った後腹膜腫瘍が,術後の病理検査で後腹膜線維肉腫と判明した1例(58歳女)を報告した.症例は右側腹部腫瘤を自覚し,造影CTで右腎前上方に腎との境界が不明瞭で,肝,胆嚢,下大静脈,右腎静脈を圧排している8×7×9cmのhypervascularなmass lesionを認めた.腹部血管造影では右腎動脈2本を確認し,上方の動脈の直線化と腫瘍の被膜への栄養血管を認めた.開腹すると腫瘍は右腎臓と一塊になっており,右腎臓と共に腫瘍を摘出した.腫瘍細胞は紡錘形の細胞からなり,各細胞は束状に平行,または交錯していた.好銀線維や膠原線維が豊富な部位やherringbone patternを認めた.また,Elastica von Gieson染色で赤染する多数の膠原線維を認めた.免疫組織染色ではビメンチンのみ陽性であり,膠原線維の増生や強い核異型がみられた.術後経過は良好で,術後3年4ヵ月が経過したが再発徴候はみられない
©Nankodo Co., Ltd., 2004