発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004301629
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73歳女.腸閉塞の手術後,数回癒着性イレウスを繰り返し,その都度保存的加療にて軽快していた.今回,腹痛,嘔吐が出現したため入院となった.腹部単純X線像にて小腸の拡張が著明に認められた.CTにて小腸にニボーを伴う著明な拡張を認めた.ただちにイレウスチューブを挿入し,約1000mlの腸液の流出を認めた.しかし,入院時より認めた左上腹部の筋性防御は改善せず,絞扼性イレウスの診断にて開腹した.Bauhin弁より70cm口側の回腸が癒着のため狭窄を来たし,口側腸管の拡張を認めた.癒着を剥離し,イレウス管はTreitz靱帯より約80cm肛門側空腸に先端をおき手術をおえた.術後3日目にイレウス管を抜去したが,翌日より再度腹部膨満が出現し腹部単純X線像にて胃の拡張を著明に認め,ただちに胃管を挿入し約1000mlの胃液を吸引した.その後も排液は減少せず,イレウス管に入れかえても排液の減少は認められなかった.イレウスを管抜去後7日目に腹部CTを施行し,リング状の層構造を示す腫瘤状陰影を左上腹部と骨盤部に2ヶ所認めた.以上から,術後腸重積症と診断し手術を施行した.術後,創感染,腹腔内膿瘍などを生じたが軽快した
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