発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015265080
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77歳女性。両側鼠径部の膨隆を主訴に近医より紹介となった。入院時、立位で左側は鶏卵大、右側は鶉卵大の膨隆がみられ、臥位で容易に還納された。また、腹部単純CT(腹臥位)では左腹直筋外縁に沿って臍より尾側のレベルから腱膜の菲薄化がみられ、同部位の外腹斜筋腱膜下に小腸の脱出を伴うヘルニア嚢ほか、両側の外腸骨動静脈に沿ってわずかな脂肪脱出が認められた。以上、これらの所見に加え、明らかな小腸拡張や浮腫像は認められないことから、本症例は左側のSpigelヘルニア、右側の大腿ヘルニアと診断され、両側のヘルニア修復術が行われた。術中所見では外腹斜筋を切開すると腹膜前脂肪を伴ったヘルニア嚢が確認され、ヘルニア門は腹直筋外縁で内腹斜筋間に認められた。更に鼠径部に向って腹膜前腔を十分に剥離すると大腿ヘルニアも合併しており、両ヘルニア門を覆うようにPolySoft M sizeを腹膜前腔に広げ一括修復した。一方、右側に関しても同様の皮膚切開で腹膜前腔を剥離し、大腿ヘルニアを確認後、PolySoftで修復した。その結果、手術時間80分、出血量は5mlで、術後経過良好にて患者は5日目に退院、目下、術後5ヵ月経過で再発は認めず、外来通院中である。
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