発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005036509
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
60歳男.数年前よりの腹部膨満感,労作時呼吸苦が増悪した.腹部造影CTで腹腔内を占居する巨大な多房性嚢胞を認め,消化管,肝,胆,膵,脾,腎は偏位し,液体貯留,腹膜肥厚,脂肪織濃度上昇,軟部組織辺縁の不整を認めた.腹部MRIでは多くの隔壁を有する嚢胞性腫瘤で,内容は粘稠度の高い液体または血液と考えられた.腹膜穿刺液は膿血性で粘稠度は低く,細胞診はclass Iであった.腹膜偽粘液腫と診断し,低栄養状態を伴う腎機能障害により手術は危険と考えたが,本人・家族の強い希望で開腹術を施行した.腫瘤の剥離は比較的容易であったが,剥離面からの静脈性出血が持続し止血に難渋した.腫瘤の基部を含めて胃部分切除したが,術後腹腔ドレーンよりの出血が持続し,第2病日に出血性ショックで死亡した.摘出腫瘤は28×18cm,2542gで,紡錘形の細胞が密に増殖し,壊死傾向が顕著であった.免疫染色ではc-kit,CD34が陽性,S-100蛋白,α-SMAが陰性で,GIST malignancyと診断した
©Nankodo Co., Ltd., 2004