発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004211684
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31歳女.右乳房腫瘤を主訴とした.妊娠26週.右乳房A領域に約3cm大の硬い腫瘤を認めたが腋窩リンパ節は触知せず,血液検査では妊娠に伴う軽度貧血以外に異常はなかった.超音波検査にて腫瘤は辺縁不整,内部不均一で高輝度の部分を呈し,マンモグラフィーでは腫瘤部に微細石灰化の集簇を認め,穿刺吸引細胞診にてclassVと診断された.十分なインフォームドコンセントを行い,妊娠を継続したまま将来的な乳房再建術を考慮して,乳輪・乳頭温存,胸筋温存乳房全切除,腋窩リンパ節郭清R1を施行した.病理組織学的にsolid tubular(invasive ductal)carcinoma,n0,ER(-),PGR(+)で,分娩後,CT,骨シンチにて遠隔転移を認めなかった.術後は初乳を1カ月授乳した後に断乳してUFT,tamoxifen citrateによる化学,ホルモン療法を行い,経過観察中である.妊娠合併乳癌が発見された場合には十分なインフォームドコンセントや各科医との緊密な連携が重要であると考えられた
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