発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004197370
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
41歳男.嘔気,食欲低下を主訴とした.4'型胃癌の診断で手術を行ったが,術中所見にて小網,大網に腹膜播種,No.7,11リンパ節転移を認め,膵体尾部合併胃全摘術,大網網嚢切除術,Roux-en-Y再建,D2郭清を施行した.術後膵液瘻を併発したが保存的に軽快し,TS-1による化学療法を4クール行った.約10ヵ月後より心窩部のつかえ,咳を認めるようになり,上部消化管内視鏡検査にて再発を認めた.胸部CTでは癌性リンパ管症が疑われた.TS-1にcisplatinを加えた化学療法を1クール行ったが,症状は徐々に増悪した.内視鏡検査及び上部消化管造影では,食道空腸吻合直下の挙上空腸の狭窄を認めた.腹部X線像ではニボーを認めなかった.本人の摂食への希望が強かったため,QOL改善目的にステント留置術をprosthesis挿入のガイドラインに準じて行った.ステントはEMSのカバードタイプを使用した.ステント留置後の生存期間は52日と短期間であったが,嘔気,つかえは軽快,低下していた食事摂取量は明らかに増加し,QOLの改善がみられた
©Nankodo Co., Ltd., 2004