発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012220173
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79歳男。進行胃癌の診断で、胃全摘術、Rouxen-Y再建を約2年前に施行した。術後外来で化学療法を行っていたが、嘔吐、腹痛が出現したため精査加療目的に入院した。AST、ALT、γ-GTPの上昇、腫瘍マーカーの高値を認めた。上部消化管内視鏡では、食道空腸吻合部直下の再建挙上空腸の狭窄を認めた。上部消化管造影では、食道空腸吻合部から約2cm肛門側の空腸に約4cmの全周性狭窄を認めたが、狭窄部より肛門側消化管の造影剤通過は良好であった。腹部CTでは、多発肝転移と食道空腸吻合部より口側の食道拡張と吻合部周囲に低吸収の軟部陰影を認め、リンパ節再発あるいは腹膜播種による局所再発と考え、胃癌術後の局所再発による再建挙上空腸の癌性狭窄および多発肝転移と診断した。肝機能悪化を認めたため全身化学療法は不適応で、充分なインフォームド・コンセントのうえ、新たに開発・承認された十二指腸用TTSタイプのSEMSの留置術を施行した。造影剤の良好な通過を確認し、腹部CTでステントの偏移・閉塞は認めず、固形物は通常量の約50%摂取可能となった。QOLの改善を認め病状経過は安定していたが、約1ヵ月後に全身状態の悪化で死亡した。
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