発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014122296
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68歳男。発熱に伴う右季肋部痛を主訴に受診、急性胆石胆嚢炎と診断されるも入院治療を拒否して他医療機関で保存的治療が行われていた。しかし今回、前回症状に加えて腹部膨満と吐下血で精査加療目的で入院となった。所見では炎症反応と貧血を呈し、上部消化管内視鏡では十二指腸球部に出血を伴う潰瘍病変と肛門側に嵌頓した結石が認められた。また、腹部CTでは胆嚢内には気腫による鏡面像がみられ、初回受診時に胆嚢内に存在した結石は十二指腸に移動していた。以上、これらの所見を踏まえ、更に上部消化管造影を行なったところ、本症例は胆嚢・十二指腸瘻と結石嵌頓による十二指腸完全閉塞を認め、胆石イレウス(Bouveret症候群)と診断された。以後、瘻孔からの再出血を来したため緊急開腹手術が施行された。手術は十二指腸下行脚部に移動していた嵌頓結石を空腸を切開し除去後、十二指腸球部に存在した胆嚢・十二指腸瘻を一期的に単純閉鎖し、胃瘻造設、空腸瘻の造設が行われた。その結果、切除胆嚢は壁肥厚を伴って萎縮し、一部粘膜壊死が認められ、結石の最大径は40mmであった。尚、経過良好で患者は術後50日目に退院となった。
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