症例
腹腔鏡下手術が有用であった卵巣嚢腫鼠径ヘルニアの1例
塚原 稚香子
1
,
若杉 正樹
,
松本 典子
,
徳川 睦美
,
柏原 宏美
,
北井 美穂
,
久本 浩司
,
西尾 幸浩
1大阪警察病院 産婦人科
キーワード:
MRI
,
鼠径ヘルニア
,
腹腔鏡法
,
卵巣腫瘍
,
卵巣摘出術
,
嚢胞腺腫-漿液性
,
ヘルニア縫合術
,
腹部CT
Keyword:
Hernia, Inguinal
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Laparoscopy
,
Ovarian Neoplasms
,
Ovariectomy
,
Cystadenoma, Serous
,
Herniorrhaphy
pp.109-114
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00535.2016221205
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72歳女性。約7年前より左鼠径部にソフトボール大の腫瘤を自覚していた。放置するも今回、近医を受診し、卵巣嚢腫を疑われ、精査・治療目的で著者らの施設へ紹介となった。受診時、左鼠径部に立位にてソフトボール大、臥位にて約3cm大の痛みを伴わない腫瘤が触知された。また、経腟超音波断層検査では左付属器に約7cm大の嚢胞性病変を認め、造影CTでは骨盤左側壁沿いに7×5cm大の嚢胞性病変が認められた。病変は左腹側に細長く連続しており、左鼠径管を通って左大陰唇の方へ続いていた。一方、造影MRIでは骨盤内左側に65×60×55mm大の緊満感に乏しい嚢胞性病変が確認され、病変は薄く均一な被膜に覆われ、壁在結節や充実成分は指摘されなかった。更に内腔は均一にT2強調像で高信号であった。以上より、本症例は卵巣嚢腫、およびその一部をヘルニア内容とする左鼠径ヘルニア合併と考えられた。そこで、治療として腹腔鏡下両側付属器切除術+鼠径ヘルニア修復術が施行された。その結果、摘出標本の病理診断では左卵巣嚢腫は一層の異型に乏しい上皮で裏打ちされた嚢胞を認め、一部に線毛もみられた。このことから漿液性嚢胞腺腫と診断された。
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