発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003200998
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80歳男.腹部腫瘤を主訴とした.3年前から高血圧,狭心症で治療中であり,脳梗塞を生じ右半身麻痺となっていた.血液検査,胸部単純X線,腹部単純X線,腹部CT,腹部MRI,血管造影,注腸造影,Gaシンチ所見より後腹膜腫瘍を疑い,手術を行った.腫瘍は上行結腸と腎被膜前葉の間の後腹膜前腔に局在しており,上行結腸や腎臓と連続性はなかった.病理組織学的に,紡錘形と多形性を示す腫瘍細胞がstoriform(花むしろ)状に増殖し,粘液腫状の変化も認められた.免疫組織染色では,α1-antitrypsin,α1-antichymotrypsinとも陽性を示した.以上より,悪性繊維性組織球腫(MFH)と診断した.術後経過良好にて退院となり,現在局所再発,転移を認めない.後腹膜原発のMFHは比較的稀と考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2003