発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003116861
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54歳女性.CEA産生性直腸癌とCA19-9産生性肺癌が合併した1例を経験した.下血と頻回の排便で受診した.腫瘍マーカーはCEA,CA19-9ともに高値であった.注腸検査でRaRbに表面不整な陰影欠損を,大腸内視鏡で周堤を伴う潰瘍性病変を認め,生検で直腸癌と診断して直腸前方切除術を施行した.病理所見は3型,中分化型腺癌であった.術後1ヵ月以内にCEAは低下したが,CA19-9は上昇していた.術後42日目に血痰を生じ,胸部X線・CTで左下肺野に限局性の陰影を認め,喀痰とleft B8からの細胞診でclass 5を検出し,video-assisted thoracic surgeryで自動吻合器を用い,左肺下葉8,9区域切除術を行った.病理所見は浸潤型の原発性肺癌であった.術後6ヵ月でCA19-9は正常範囲内に低下した.しかし,3ヵ月後に再上昇し,CTで左下肺野に腫瘤と周囲の浸潤像を認め,左肺下葉切除術を行った.病理所見では原発性肺癌の再発であった.免疫染色で直腸癌がCEA産生性,肺癌がCA19-9産生性と判明した
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