発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003201001
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64歳男.食欲不振を主訴とした.腫瘍マーカーでCEA5.26ng/mlで,CA19-9は10000(↑)U/mlと異常高値を示した.上部消化管内視鏡にて,胃角前壁から前庭部前壁を中心とした周堤を伴う不整な潰瘍性病変を認め,周堤は一部で崩れ,広範な浸潤傾向を呈した.上部消化管造影にて,胃角部から小彎を中心として壁の不整,硬化を認め,前庭部から幽門にかけては全周性狭窄を認めた.以上から,3型胃癌と診断し,幽門側胃切除術,D2リンパ節郭清術を施行した.病理組織学的に,腫瘍は中分化型腺癌が主で粘液癌を混じていた.免疫組織学染色を行ったところ,癌細胞の細胞質,間質,および粘液にCA19-9の強陽性所見が認められた.術後経過は順調で退院となり,血清CA19-9値は術後9ヵ月には48U/mlまで減少した.自験例では,CA19-9が大量に癌細胞で産生され末梢血に流入したものと考えられたが,更にリンパ管侵襲,リンパ節転移が高度なことから,リンパ行性にも血中に移行し,血中CA19-9値が異常高値を示したものと考えられた
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