発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016323948
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51歳女。当科受診の2ヵ月前に咳と発熱が出現し、近医受診した。内服加療を受け、解熱したが、咳は遷延したため当科受診した。胸部X線で右下肺野に陰影を認め、また血清腫瘍マーカーの高値(CEAが12.1ng/ml、SLXが134U/ml、CA19-9が76.2U/ml)を認めたことから、原発性肺癌を疑い、精査加療目的で入院となった。胸部CTで右下葉S10に長径70mmの境界不明瞭で周囲にスリガラス状陰影を伴う不均一な浸潤影を認めた。気管支鏡検査では可視範囲に異常なく、経気管支肺生検、擦過細胞診、洗浄細胞診で悪性所見は認めなかった。手術を行い、肺靱帯内に直径3mmほどの異常血管と思われる索状物を認め、結紮・切離した。その後は型どおり下葉切除を施行し、術中迅速で悪性所見は認めず、手術を終了した。切除標本の所見から肺葉内肺分画症と診断し、術前に高値を示していた血清腫瘍マーカーはいずれも術後正常化した。
©Nankodo Co., Ltd., 2016