発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017398770
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43歳女性。労作時呼吸苦を主訴とした。25歳時に大動脈炎症候群に合併した大動脈弁閉鎖不全症(AR)と診断されていた。28歳時にARが高度となり、労作時呼吸苦が出現したため、手術加療となった。プレドニゾロンで炎症のコントロールは良好であったが、患者が挙児を希望したため、生体弁での大動脈弁置換術または自己弁温存手術の方針とし、手術を行った。上行大動脈を切開すると、sino-tubular junction(STJ)拡大により大動脈弁尖が接合不全になっていた。しかし、弁尖の性状は軟らかく、肥厚もないことから、自己弁温存は可能と判断した。人工血管を用いたSTJ縫縮を行い、術後はステロイド治療を継続した。術後35日に軽快退院となり、退院後もステロイド治療を継続した。炎症反応は良好にコントロールされ、術後9年の38歳時に妊娠し、出産に至った。術後15年の現在、心拡大や収縮能低下、ARの悪化はなく、出生児の発育も良好である。
©Nankodo Co., Ltd., 2017