発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017398769
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
73歳男性。呼吸苦を主訴とした。15年前に冠状動脈バイパス術(左内胸動脈-左前下行枝、大伏在静脈-対角枝、大伏在静脈-回旋枝)と経皮的冠状動脈形成術を受けていた。心臓エコーで両心室を下方から高度に圧排する71×73mmの心嚢内腫瘤を認め、心室拡張能が低下していた。カテーテル検査で一部のグラフト閉鎖・狭窄を認めた。冠状動脈バイパス術後の心不全と診断し、再開胸腫瘤切除術を施行した。再開胸時に胸骨後面に癒着した大動脈とグラフト損傷を避けるため、右第3肋間を横切りする逆L字型部分胸骨正中切開でアプローチした。腫瘤の線維性被膜を破ると、内部に多量の血栓を認め、迅速病理診断の結果はchronic expanding hematomaであった。血栓を摘出し、被膜を切除したが、明らかな出血点はなかった。術後、心室の圧排所見や拡張能の改善を認め、術後16日に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2017