発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007050572
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60歳女。7年前に大動脈弁閉鎖不全で人工弁置換術を行った。その時に大動脈の肥厚と硬化を認め、活動性のない慢性期大動脈炎症候群と診断された。その後の経過観察中に上行大動脈径の拡大が確認され手術目的で入院した。上行大動脈は6.5cm大と拡大、sino-tubular junction(STJ)の拡大から大動脈基部置換の適応と判断し手術を施行した。術後の造影CTで異常は認めず、術後21日に退院した。大動脈壁の病理所見より外膜は著明な線維化と肥厚を認め、中膜は弾性線維が断裂、菲薄化し、炎症細胞の浸潤を認めなかったことより活動性のない慢性期の大動脈炎症候群と診断したが、慢性期でも大動脈は拡張をきたすことがあるため十分な経過観察の必要性が示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2006