発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017326392
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66歳男性。既往歴としてあった拡張相肥大心筋症(D-HCM)に対する定期検査で胸部異常陰影が指摘され、CTおよび擦過細胞診、経気管支肺生検で左肺下葉の原発性肺癌と診断された。胸部単純X線では左下肺野に左第4弓と一部重なるようにして、3.5×3.2cmの円形、また境界が比較的明瞭な異常陰影を認め、心胸郭比は55.2%であった。胸部CTでは左下葉S8~S9にかけて最大径3.8cmの腫瘤と末梢に無気肺がみられた。心臓超音波では左室は心基部から中央部かけて、びまん性の壁運動低下がみられ、左室拡張末梢径は56mm、駆出率は36.6%であった。以上より、D-HCMを合併した原発性肺癌と診断し、左下葉切除術が施行された。病理組織学的所見は中分化から低分化型扁平上皮癌(pT2aN0M0)であった。術後は1週間、心電図モニターを継続したが、不整脈や心不全の徴候はなく、第13病日目に退院となった。
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