発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011288496
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80歳男性。大動脈弁狭窄症に対し、大動脈弁置換術を施行後、右上葉S1に結節影および右上葉Sに腫瘤影の増大を認め、診断目的で心臓血管・呼吸器外科へ受診となった。胸腔鏡による右上葉部分切除術を施行したところ、術中迅速病理検査では悪性であった。更に引き続き右上葉切除術およびリンパ節郭清術を施行した結果、腫瘍組織は紡錘型異型細胞が強く、壊死を伴って増殖しており、著明な静脈侵襲およびリンパ管侵襲が認められた。また、免疫組織ではEMAは弱陽性、p63は限局的陽性で、これらことから本症例は肺原発の多形癌と診断された。しかし、手術から58日目に右下葉および右胸壁に多発腫瘤影が認められ、同時に右胸水の貯留、腸管壁にも腫瘤影が認められ、多形癌の再発と考えられた。以後、患者は右胸水貯留増強に伴う呼吸困難感が出現し、最終的に術後82病日目に死亡となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011