発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012184036
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症例は77歳女性で、胸部異常陰影を主訴とした。8ヵ月前に喉頭癌に対する喉頭全摘術の既往があった。CTで左肺上葉S3に32mm大の腫瘤を認め、更に大動脈外側を下行し、弓下部を通り右房へ環流する左上大静脈遺残が認められた。手術は胸腔鏡補助下で、左腋窩に皮切をおき小開胸を行った。術中針生検を行い、迅速組織診断で扁平上皮癌と診断されたため、左上葉切除術を施行した。左上大静脈および副半奇形静脈を温存し、上縦隔リンパ節を郭清した。全ての静脈を剥離し、テーピングの後に牽引することで視野を展開し、郭清部位との間にスペースを作った。病理診断は扁平上皮癌であり、最終病期はpl2、d0、E0、pm1、pT3N0M0、病理病期IIB期であった。術後、合併症を起こすことなく経過したが、喉頭癌が局所再発した。放射線治療を行ったが、術後1年に死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011