発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013004088
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症例は58歳女性で、健診で胸部異常陰影を指摘された。胸部CTで左腕頭静脈に接する最大径5.4cmの前縦隔腫瘤を認め、上大静脈(SVC)内腔の腫瘤像と連続していた。また両側上葉、右下葉に各1個の結節が認められた。SVC内腔の腫瘍はMRIのT1強調画像で等信号を呈し、胸腺腫または胸腺癌を疑って体外循環・心拍動下手術を施行した。腫瘍を胸腺と共に剥離し、心嚢内でSVCをテーピングした。左腕頭静脈を切断して人工血管を吻合後、脱血管に接続し、下大静脈からも脱血して上行大動脈に送血した。右心房に遮断鉗子をかけてSVCを切開し、腫瘍を一塊に切除した。右腕頭静脈とSVCの右房側断端を人工血管で再建し、体外循環離脱後に左腕頭静脈に吻合しておいた人工血管の他端を右心耳に縫合した。肺結節は両側上葉のみ楔状切除で摘出した。病理組織所見で腫瘍・結節ともWHO分類B3型の胸腺腫であった。術後化学療法を施行して完全奏効が得られ、45ヵ月経過して病変は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012