発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017304634
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77歳女。全身倦怠感を主訴とした。著明な貧血と凝固線溶系の軽度活性化を認め、上部消化管内視鏡検査では上中部食道に出血点と伴う粘膜下隆起性病変を認めた。造影CTでは下行大動脈瘤が食道を圧排している所見を認め、大動脈周囲に強い炎症所見を認めた。胸部大動脈瘤の食道穿破と診断し、3日間の降圧・抗生物質の投与後に準緊急手術を施行した。部分体外循環・心拍動下に大動脈を遮断して瘤を切開すると、気管分岐部レベルで食道に向かう25×15mmの穿孔部を認め、穿孔部周囲に白色血栓を認めた。Rifampicinに浸漬したTriplexを使用して下行大動脈置換術を行い、人工心肺離脱後に食道穿孔部と人工血管周囲に大網を充填した。術後5日目に胃瘻チューブからの経管栄養を開始し、29日目に固形食を開始し、54日目に独歩退院した。術後3年経過して感染徴候はなく経過良好である。
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