発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016087078
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症例は70歳男性で、64歳時に腎動脈下腹部大動脈瘤で他院にてY字人工血管置換術が行われ、同時に弓部大動脈瘤(TAA)が指摘され、TAAの拡大傾向で紹介受診した。造影CTで弓部大動脈遠位部に56mmの嚢状瘤、下行大動脈に40mmの紡錘瘤を認め、拡大傾向の弓部嚢状瘤に対しone debranchingステントグラフト内挿術(TEVAR)を行ったが、ステントグラフトのメインボディ挿入が困難のため、弓部大動脈全置換術と順行性アクセスによるTEVARを行った。人工心肺を確立し、上行大動脈遮断で心停止を得た。完全循環停止後に脳分離2本送血を確立し、弓部大動脈末梢側と中枢側を吻合して冠灌流を再開し、体外循環から離脱後に血管内治療に移行してステントグラフトを挿入した。術後経過は良好で12日目に軽快退院した。その後弛緩熱を認め、精査で大動脈食道瘻による縦隔炎と診断し、他院食道外科にて食道抜去術、大網充填術、追加TEVARを受け、現在外来で抗生物質投与中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2015