発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2005008570
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61歳女.54歳時に胸部急性大動脈解離で人工血管置換術を行い,55歳時に糖尿病となった.血糖コントロール不良で入院し,微熱・心窩部痛が出現した後,突然少量吐血してショック状態となった.造影CTで下行大動脈の人工血管置換部直下からのStanford B型の大動脈解離を認めた.上部消化管内視鏡を施行したところ,胃内に大量の凝血塊を認めたが,出血源は明らかでなかった.抗生物質,昇圧薬,酸素投与で状態は安定したが,翌日大量のタール便を排泄し,その後意識レベルの低下,呼吸停止を来たして死亡した.病理解剖所見で,大動脈グラフト置換部と胸部食道には強い線維性癒着を認めた.グラフト下端部において,新鮮出血を伴う潰瘍を認め,食道との間が交通していた.グラフト下端縫合部内膜側には細菌増殖を伴う好中球浸潤があり,新生内膜の侵食像を認めた.食道穿孔に併発した縦隔炎がグラフト縫合部に波及し,食道内に破綻性出血を起こしたものと推測した
©Nankodo Co., Ltd., 2004