発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017304633
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44歳女。発熱、背部痛を主訴とした。経胸壁心エコー像(TTE)では僧帽弁前尖に径10mmの疣贅、後尖に小さな疣贅を認め、重症僧帽弁閉鎖不全症(MR)を伴っていた。血液培養でStreptococcus oralisが検出され僧帽弁の活動期感染性心内膜炎と診断し、準緊急で手術を行った。僧帽弁の前・後尖の感染組織を切除すると、前尖はA1~A2のrough zoneの大半とclear zoneの一部が欠損し、後尖は弁尖を温存できた。前尖の欠損部はグルタルアルデヒド未処理の自己心膜パッチで補修し、弁輪縫縮後、逸脱していた後尖P3にゴアテックスで4対の人工腱索を立て、前乳頭筋間にも自己心膜を縫合した。4週間の抗生物質治療後、合併症なく自宅退院した。術後2年目のTTEで軽度のMRを認めるが、感染の再燃もなく経過している。
©Nankodo Co., Ltd., 2017