発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016323949
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60歳女。既往歴として直腸癌に対し低位前方切除術を受けていた。今回、術後1年目の定期FDG-PETで左肺上葉に異常集積を認められ、精査加療目的で当科に紹介された。胸部X線で左上肺野縦隔側に3.5cmの腫瘤影を認めた。胸腹部造影CTで左上葉S1+2に最大径3.4cmの腫瘤影を認めた。気管支鏡検査の擦過細胞診で腺癌と診断されたが、原発か転移かの鑑別は困難であった。その鑑別目的に術中針生検を行い、異型腺腫様過形成(AAH)類似所見を認めたことから原発性肺癌と判断したが、永久標本による病理診断は転移性肺腫瘍であった。本例でAAH類似所見を認めた理由として、1)針生検による物理的影響、2)偶発的にAAHが存在していた、3)腫瘍圧排による周囲の閉塞性肺炎像などが考えられ、特に3)の可能性が最も高いと考えられた。
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