発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016303757
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81歳女性。11年前より心臓腫瘍の経過観察中で、腫瘍は徐々に拡大傾向にあったものの無症候のまま経過していた。今回、3ヵ月前より間欠的な眩暈、動悸が出現したため、著者らの施設へ救急外来を受診となった。受診時、心電図では心室頻拍(VT)を認め、直ちに直流除細動を施行することで洞調律に復帰した。一方、造影CTでは右室自由壁から内腔に突出する80×70×55mmの表面平滑な腫瘍がみられ、血管腫が疑われた。また、心エコーでは心嚢水貯留を認め、その後も非持続性VTが頻発したため、準緊急で腫瘍摘出術を施行した。すると、腫瘍の右室浸潤範囲が広範囲であったため、右室自由壁に浸潤した腫瘍部分を一部残存させる形で突出した腫瘍部分を摘出した。病理組織学的には血管腫であった。以後、手術から5日目に再度非持続性VTが出現したため経カテーテル的電気生理学的検査を施行したが、VTの起源は残存した腫瘍の付着部であり、同部位にカテーテルアブレーションを試みたが電気的焼灼は不完全に終わった。そこで、植込み型除細動器の植込み術を行い、患者は軽快退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2016