発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013305787
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
症例は70歳女性で、S状結腸癌で切除術を受けたが、7ヵ月後に肺、肝、大動脈周囲リンパ節の転移と腹膜播種を認め、抗癌薬治療を行っていた。労作時の息切れが出現し、心エコーで右室内の腫瘍を指摘された。右室流出路に約5×4×3cmの腫瘤を認め、血流の障害となっており、III/IV度の三尖弁逆流が認められた。症状改善を目的に手術を施行し、肺動脈弁の観察で腫瘍は肺動脈側へ露出していたが、右房側には露出していなかった。右室自由壁を腫瘍の辺縁に沿って電気メスで切開して摘出し、肉眼的に残った部分は冷凍凝固を行った。三尖弁前尖の腱索を腫瘍と共に切除したため2対の人工腱索で再建し、右室壁の欠損部はDacronパッチに自己心膜で裏打ちしたものを用いて閉鎖した。心拍再開後のエコーで高度な三尖弁逆流があり、弁輪拡大を認めてDeVega法により弁輪縫縮を行った。術後経過良好で13日目に退院し、化学療法が再開され2ヵ月後も無症状である。
©Nankodo Co., Ltd., 2013