発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016303756
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67歳男性。回転性めまい、嘔気、構音障害を主訴に前医を受診、左小脳梗塞の診断で緊急入院し、heparin、edaravone投与による加療を受けた。今回、その後の検査で弁膜症性心房細動(Af)による心原性脳梗塞と診断され、著者らの施設へ紹介となった。治療として僧帽弁置換術(MVR)+左心耳閉鎖術が予定されたが、手術予定の1ヵ月前に左上肢の疼痛、しびれが出現した。MRAにより左上腕動脈の閉塞が疑われ、緊急で左上腕動脈血栓除去術が行われた。そして、術後は抗凝固療法を継続し、MVR施行の方針となったが、左小脳の梗塞後出血を認めたため手術は延期となった。以後、左小脳出血は消失したが、繰り返す弁膜症性Afによる塞栓症に対して胸腔鏡下左心耳切除術を施行した。その結果、術後の経過は良好で、患者は抗凝固療法を継続の上、軽快退院となった。目下、術後12ヵ月現在、明らかな塞栓症および出血エピソードなく経過している。
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