発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010071365
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1996~2008年にStanford A型急性大動脈解離の基部病変に対して外科治療を施行した15症例の手術成績を検討した。平均年齢は54.4歳で、6例が50歳以下であった。11例にValsalva洞内亀裂が認められ、8例に基部再建、1例に断端形成と冠状動脈バスパス術(CABG)が施行された。内膜亀裂を認めなかった4例中3例は術前から大動脈弁閉鎖不全(AR)、大動脈弁輪拡張症が指摘されていたため基部置換術が施行された。また、他の1例は左冠状動脈洞の破裂がみられ、生体弁を用いた基部置換術が施行された。手術死亡、病院死亡は認められず、全例が独歩退院となったが、退院後1例で縦隔炎を発症した。基部病変に対して追加の外科処置を要した症例はなかった。尚、断端形成とCABGを施行した初期の3例では術後ARが残存した。以後、弓部に対する処置と基部置換術の同時施行を積極的に行なわれ、手術成績、遠隔期予後ともに良好であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009