発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015395178
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79歳女。咳、胸背部痛を主訴とした。CTで右中葉に7.6×4.3cmの腫瘤影を認め、上肺静脈への浸潤とリンパ節腫大も認めた。気管支鏡では中葉気管支の閉塞と中下葉分岐の肥厚鈍化を認め、生検では低分化扁平上皮の診断であった。cT3N2M0、臨床病期IIIA期の原発性肺癌と診断して開胸術を施行し、手術所見で中葉は萎縮し、上下葉間に存在していた。腫瘍は上肺静脈周囲で心嚢浸潤が疑われた。リンパ節郭清後、右肺を摘出した。中葉~下葉に6.5cm大の腫瘍を認め、病理組織像では腺癌と扁平上皮癌の二つの組織型が境界明瞭に存在し、両者の隣接部分でadenocarcinoma in situが存在するため、衝突癌と診断した。また、リンパ節#11iに腫瘍の浸潤を認めた(pT2bN1M0、病理病期IIB)。Cycleave法で上皮成長因子受容体の遺伝子変異を検索したところ、扁平上皮癌、腺癌ともにL858R点突然変異を認めた。第15病日に軽快退院し、術後4ヵ月の現在まで再発は認めていない。
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