発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014195253
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症例は54歳男性で、左手関節骨折時の術前X線で右上肺野異常影を指摘された。CTでは右上葉に大静脈浸潤を伴う65×54mmの腫瘤影を認め、遠隔転移所見はなく、生検結果より肺腺癌と診断した。第5肋間開胸で右肺上葉切除術を施行し、癒着していた上大静脈を合併切除して腫瘍を摘出した。病理所見は乳頭型と充実型が混在した混合型腺癌で、リンパ節転移、上大静脈浸潤、断端陽性を認め、pT4N2M0、病理病期IIIBであった。術後切除断端に放射線照射を行ったが、右胸水貯留、CEA高値を来たし、細胞診で癌性胸膜炎と診断された。carboplatinとpaclitaxelによる化学療法は無効で、上皮成長因子受容体遺伝子変異検査でexon 21のL858R点突然変異を認めたため、gefitinib 250mg/日内服を開始した。3ヵ月後には右胸水は減少しCEAも正常化して「著効」と判定され、その後経済的理由で内服を中止したが、術後9年経過し無再発生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2014