発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015395177
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94歳女。突然に胸痛が出現し、X線で左大量胸水、縦隔偏位を、CTで出血を疑う左大量胸水、左胸腔内に第6肋間から胸壁に沿って連続する造影剤の漏出像を認めた。精査中に意識レベルと血圧の低下を来たしショック状態となり、造影CT所見より肋間動脈からの出血による緊張性血胸と診断して緊急手術を施行した。輸血により血圧が維持できたため、鏡視下で手術を開始した。胸腔内より約3lの新鮮血液と凝血塊を吸引し、胸腔内を観察したところ、下行大動脈(横隔膜より約5cm頭側)から血液が噴出していたため、大動脈破裂と判断して緊急開胸した。蛇行した下行大動脈の胸壁に接する部分に約1mmの破裂孔を認め、動脈壁には全体的に動脈硬化による石灰化を認めたが、大動脈瘤の所見は認めなかった。破裂孔周囲は動脈硬化性変化が比較的軽度であり、破裂孔も小さかったため、直接縫合閉鎖した。術後2日より食事摂取とリハビリテーションを開始し、術後20日に退院となった。術後11ヵ月の現在、再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2015