発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014204292
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42歳女(妊娠30週)。突然胸部痛が出現し、前医で大動脈弁輪拡張症、大動脈弁逆流にStanford A型急性大動脈解離の併発と診断され当院搬送となった。造影CTでは大動脈基部拡大、基部付近に限局した偽腔開存の解離、心嚢液貯留、子宮内に胎児を認めた。血行動態は安定しており、また妊娠30週で胎児の娩出が可能であることから、まず腰椎麻酔下に帝王切開および子宮全摘を行い、集中治療室入室後に全身麻酔に移行し、産科術後15時間に解離に対する手術を行った。人工心肺下に大動脈切開すると、上行大動脈基部前面に亀裂を認め、弁を3尖とも切除し、SJMとGelweaveでcomposite grafを作成・縫着した。両側冠状動脈入口部はCarrel patch法で再建した。次いで脳分離体外循環とし、弓部を離断して人工血管で末梢側吻合を行い、体外循環再開後に基部側と遠位側の人工血管同士を吻合した。術後は母子ともに順調に経過し、母親は術翌日に人工呼吸器から離脱して術後10日に退院となり、現在は外来通院中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2014