発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009296153
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76歳男。約1年前に大動脈弁閉鎖不全症に対し生体弁による大動脈弁置換術施行した既往歴があった。胸部不快感、顔面浮腫で近医を受診し、CTで上行大動脈解離を認め、当院紹介となった。胸骨左縁第2肋間にLevine分類IV/VI度の汎収縮期雑音を聴取し、BNPの著明な上昇を認めた。胸部CTで上行大動脈に解離性大動脈瘤、開存した偽腔を認めた。偽腔と左房に交通を認めた。心臓超音波で大動脈弁位人工弁には狭窄や逆流は認めず、経食道超音波で偽腔から左房への血流を認めた。以上より、左房穿破した解離性上行大動脈瘤と診断し、心不全の合併から準緊急的に手術を施行した。解離は上行大動脈に限局しており、上大動脈に脱血管を追加し人工肺を確立して大動脈遮断後に瘤を切開し、上行大動脈後壁にエントリーを認めた。左房天井に約2cm大の欠損孔を認め、脳分離体外循環を併用して上行置換術を行い、欠損孔はテフロンフェルトで補強して直接縫合閉鎖した。術後経過は良好でBNPは低下し23日目に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2009