発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015122721
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54歳女性。1ヵ月以上持続する背部違和感を主訴に前医を受診、CTにて大動脈解離を指摘され、著者らの施設へ紹介となった。入院時、CTでは偽腔開存型、Stanford A型大動脈解離が認められたほか、弓部分枝は全て解離しており、腕頭動脈から右総頸動脈にかけての造影効果が乏しかった。また、頸部エコーでは右総頸動脈で盲端となり、真腔を高度に圧迫しており、偽腔内部の血流は確認できなかったが、心エコーでは中等度以上の大動脈弁閉鎖不全が認められた。以上、これらの所見を踏まえて手術による治療を行なわれることとなった。手術はまず二股人工血管の脚を縦隔から右鎖骨下に誘導して右総頸動脈と右腋窩動脈にそれぞれ端側吻合、左腋窩動脈は人工血管を端側吻合しておいた。そして、これらの人工血管と左大腿動脈送血、右房脱血で人工心肺を確立させ、あわせて左総頸動脈に送血を追加することで脳分離体外循環を確立して体循環を停止、上行弓部置換術と大動脈弁置換術を施行した。以後、4分枝付人工血管を用いてelephant trunkを真腔に挿入して末梢側吻合を行い、左腋窩動脈に吻合した人工血管を縦隔に誘導して4分枝管の側枝と端々吻合後に体循環を再開した。次いで径23mm機械弁で大動脈弁置換術後に中枢側吻合を行い、左総頸動脈を再建し、二股人工血管と4分枝の側枝を端々吻合して腕頭動脈と左鎖骨下動脈は起始部で閉鎖した。目下、術後6年経過で大動脈基部の拡大は認められていない。
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