発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012139106
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75歳男。検診で胸部異常陰影を指摘された。胸部CTで左S1+2に2.2×2.1cmの充実性結節を認め、一部に石灰化を伴い、血管収束像や胸膜陥入像はなかった。またStanford A型大動脈解離を認め、心エコーでは大動脈閉鎖不全症III度、僧帽弁閉鎖不全症II度、三尖弁閉鎖不全症II度であった。肺腫瘍は悪性を否定できず、侵襲的な検査は危険と判断し、大動脈解離に対する手術と同時に診断的治療として左肺手術を行う方針とした。まず前側方開胸で肺の手術を先行し、針生検による迅速病理診断は腺癌で、左肺上葉切除術を施行した。次いで胸骨正中切開で上行弓部大動脈人工血管置換術、大動脈弁置換術を施行した。切除標本の病理組織所見で、腫瘤は線維性結合織に覆われた陳旧性の血腫であり、一部に気管支上皮の残存を認めたが、悪性所見はなかった。術後経過は特に問題なく、第32病日に退院した。
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