発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014204286
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61歳男。脱力感、複視および呂律の回り難さを主訴とした。CTで前縦隔の上行大動脈前面に約1cm大の胸腺腫を認め、増大傾向があった。各種検査を行い、重症筋無力症の診断基準のうち自覚症状(複視・言語障害)、理学所見(四肢筋力低下・構音障害・易疲労性・日内変動)、検査所見(テンシロンテスト陽性・漸減現象・血中AChR抗体陽性)を満たしたことから、全身型重症筋無力症と診断した。また、誘発筋電図では重症筋無力症に特有な3Hzの低頻度刺激での漸減現象以外に、50Hzの高頻度刺激での漸増現象を認め、Lambert-Eaton筋無力症候群の複合合併が疑われた。拡大胸腺摘出術を施行し、病理組織学的に腫瘍は濾胞性過形成を示し、重症筋無力症の原因となりうる病変であった。術後、血中の抗P/Q型電位依存性カルシウムチャンネル抗体を検査したところ陽性が判明し、Lambert-Eaton筋無力症候群の合併が確定した。術後5年以上が経過したが、肺小細胞癌を含めた悪性腫瘍の発生は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2014