発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013316886
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
74歳男性。心室中隔欠損症(VSD)が指摘されていた。経過観察されていたが、他院で両側内胸動脈(ITA)を用いた緊急冠状動脈バイパス術が行われ、その後は著者らの施設へ通院となっていたが、心不全による入・退院を繰り返すようになり、発熱と全身浮腫が認められたため入院となった。所見では術前造影3D-CTでは左ITAは主肺動脈の右側を沿うように走行し、肺動脈弁のあたりでその前面を斜めに走行していた。これらの所見から本症例はVSDに感染性心内膜炎が合併し、大動脈弁閉鎖不全症を併発、このことが慢性心不全を増悪させたものと診断し、手術適応と判断した。以後、再胸骨正中切開とし、両側ITAを剥離し同定後、完全体外循環を確立した。次いで両側ITAを遮断後に逆行性心筋保護で心停止を得てから大動脈を横切開し、左右冠尖を切除した。更に三尖弁前尖および中隔尖の真裏に2.0×1.5mm大のVSDを同定し、Dacronパッチで閉鎖した。大動脈生体弁21mmで大動脈弁置換術を行ない、術後5日目に抜管、心不全症状は改善し、tolvaptanは不要となった。尚、患者は術後36日目に独歩により退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2013