発行日 2012年11月1日
Published Date 2012/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013095086
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55歳男。背部痛を主訴とした。総胆管膵管合流異常症に対する開腹手術、糖尿病の既往歴がある。入院時検査所見にて炎症反応の上昇を認め、造影CTにて胸部下行大動脈に前方および後方に突出する形状不整な嚢状動脈瘤を2ヶ所に認めた。以上より、感染性胸部下行大動脈瘤の切迫破裂と診断した。左広背筋を温存して緊急開胸手術を行ったが、大動脈瘤壁は周囲組織と癒着し、左肺下葉の癒着は特に強固であった。内膜は欠損して嚢状瘤を形成しており、瘤の可及的切除と癒着していた肺の部分切除を行った。また、解剖学的血行再建は温存していた広背筋で人工血管と吻合部を被覆した。術後、瘤壁の擦過にてGram陽性球菌を検出、術後3日目に瘤壁培養にて肺炎球菌を検出し、抗生物質投与を行った。徴候の再燃はなく術後35日目に独歩退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012