発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013004070
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症例は74歳男性で、出生時に右胸心、内臓逆位と診断され、49歳時に心房中隔欠損(ASD)パッチ閉鎖術を施行した。術後心房細動を認め、うっ血性心不全の増悪で入院加療を繰り返していたが、心エコー検査で僧帽弁閉鎖不全症と三尖弁閉鎖不全症の増悪を認め、手術施行となった。人工心肺確立後、術者は患者の左側に立ち、経心房中隔アプローチで僧帽弁を展開した。僧帽弁前尖は器質的変性を認め、一部石灰化しており、弁形成は不適切と判断して切除し、後尖を温存してintra-annular位でATS機械弁29mmによる僧帽弁置換術を施行した。ASDを閉鎖していたGore-Texパッチは高度に石灰化しており、除去して新しいGore-Texパッチで閉鎖した。弁輪拡大を認めた三尖弁には、Cosgrove-Edwards 30mmによる弁輪形成術を施行した。合併症なく術後第15病日に退院し、経胸壁心エコーで僧帽弁位人工弁は正常に機能し、三尖弁逆流はごく僅かであった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012