発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013004075
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症例は生後12日女で、胎児エコーで修正大血管転位、内臓逆位と診断されていたが、出生直後より重度チアノーゼ、多呼吸など予想外の症状が出現し転院した。心エコー所見は心房位逆位で房室は正常整列、大血管は右室起始の完全大血管転位で、並列の大動脈左前、肺動脈右後であった。冠状動脈は左冠尖より起始する単冠状動脈で、7.6×6.8mmの心房中隔欠損が認められた。動脈スイッチ術を施行し、大動脈遮断後にまず心房中隔欠損穴を直接縫合で閉鎖した。次いで大動脈をsinotubular juction上方で横断し、冠状動脈ボタンを切離した。肺動脈を分岐部直前で切断しFrench maneuverの後、新大動脈の後半周を接続した。単冠状動脈の全ての分枝に屈曲・過伸展がかからない位置にトラップドア切開を加え、冠状動脈ボタンを縫着し前半周の接続を終了した。冠状動脈採取部には自己心膜パッチを補填し、新肺動脈を左方に移動させ再建した。術後経過良好で、成長・発達も順調である。
©Nankodo Co., Ltd., 2012