発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012314032
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70歳男。労作時呼吸困難を主訴とした。40歳時に大動脈四尖弁による閉鎖不全症(AR)を指摘されていたが、無治療であった。59歳時に中等度のARを指摘され、内服で経過観察となった。60歳時より糖尿病性腎症に対し維持血液透析導入が開始された。68歳時に夜間の呼吸困難が出現し、圧較差67.2mmHgの大動脈弁狭窄症(AS)を指摘された。経胸壁心エコーで重症のASと中等度ARを認め、大動脈造影でSellers分類III度のARを認めた。ARおよびASと診断し、手術を施行した。術中、大動脈弁はHurwitz分類c型の四尖で、石灰化と線維性肥厚を伴っていた。冠状動脈開口部は正常であった。弁尖を切除し、各交連に支持糸をかけた上で、Carbomedics 21mm tophatを弁輪上側に縫着した。病理組織学的検査で弁尖の浮腫状・硝子様石灰化と著しい結節状石灰化を認めた。術後経過は良好で、術後39日に独歩退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012