発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012356917
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59歳女。52歳時甲状腺乳頭癌手術を受け、術後の経過観察で施行されたPET-CTで右肺門部への集積を認め、造影CTで右肺動脈内に腫瘍性病変を認めた。心臓カテーテル下の生検で肺動脈内膜肉腫と診断された。腫瘍塞栓が原因と考えられる肺高血圧症を合併しており、抗凝固療法とdoxorubicinによる化学療法を2コース施行された。化学療法の効果は進行であったが、肺高血圧症は改善し、手術のため当科へ転院した。胸部単純X線にて右肺門部の腫瘤、右肺末梢の結節影・浸潤影を認め、CTにて肺梗塞を疑った。頭部MRIにて右前頭葉に小結節を認めた。心エコーにて肺動脈圧の低下を認めた。以上から肺動脈原発肉腫と診断し、右肺全摘術を施行した。摘出標本で腫瘍は右肺動脈を占拠し、気管支への浸潤を認めた。免疫染色により平滑筋肉腫と診断した。術後経過良好であったが、術後20日のMRIで右前頭葉の結節が増大していた。脳転移と診断し、定位放射線治療を施行した。しかし、多発脳転移、肝・副腎転移が出現し、術後6ヵ月で癌死した。
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