発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005007518
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58歳男.下血を主訴とした.注腸X線でRbからRaにかけて粘膜下腫瘍を思わせる表面平滑な隆起性病変を認め,腹部ダイナミックCTで骨盤全体を占めるlow density areaを認め,内部に出血壊死巣を認めた.また,骨盤MRIではT1強調像,T2強調像共に内部に出血壊死を示す高信号を伴った低信号な腫瘍を認めた.直腸原発の悪性非上皮性腫瘍すなわち平滑筋肉腫を疑ったが,質的確定診断を得るため経肛門的に針生検を行い,平滑筋肉腫と病理診断された.以上より,直腸平滑筋肉腫の診断のもと,D2リンパ節郭清を含めた腹会陰式直腸切断術と人工肛門造設術を施行した.病理所見で紡錘形細胞が束状をなし交錯しており,核異型性が強く分裂像も散見された.更にmitosisも10/10HPF以上で認められた.免疫染色ではビメンチン染色,CD34染色,鍍銀染色で陽性であり平滑筋肉腫と診断された.術後経過は良好であったが,退院後の外来観察中に多発肝転移を認め,動注療法を施行したが効果無く死亡した
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