発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016087087
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症例は79歳女性で、68歳時に腎静脈合流部から肝門部末梢に至る下大静脈(IVC)原発平滑筋肉腫で腫瘍完全切除、左腎静脈切除、人工血管による再建を行った。今回、呼吸苦、両下肢浮腫、左側臥位での動悸が増強して再入院した。造影CTで肝部IVCから右房内にかけて腫瘍を認め、心エコーで右房内腫瘍は拡張期に三尖弁へ接触し、左側臥位で心室性期外収縮が誘発された。右房内腫瘍の三尖弁への陥頓傾向を認め、突然死の恐れがあるため救命目的で手術を行った。右房から横隔膜上までIVCを切開し、巨大な弾性硬、表面疎な腫瘍を認めて切除した。病理所見では、異型平滑筋細胞の錯綜した増生を認め、免疫染色はc-kit・血小板由来成長因子-α弱陽性で平滑筋肉腫と診断した。術後のCTでIVCの腫瘍残存部位に50%狭窄を認め、スパイラルステントを留置し、経過良好で退院した。術後10ヵ月から口腔底、下顎骨、皮下、多発肺転移が出現し、術後22ヵ月に肝不全にて死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2015