肺原発平滑筋肉腫の1例

79歳女性。患者は全身倦怠感、体重減少を主訴に近医を受診、胸部X線上で異常陰影を指摘され、著者らの施設へ紹介となった。血液検査では貧血、CRPの上昇が認められたが、腫瘍マーカーはいずれも正常範囲内であった。また、胸部X線では左下肺野に径9cm大の境界明瞭な腫瘤陰影がみられ、胸部CTでは左下葉に9×9×7cm大、造影CTで内部濃度不均一な腫瘤陰影が認められた。一方、気管支鏡下肺擦過細胞診ではclass IIIaで、画像所見より悪性度の高い腫瘍が考えられ、手術が予定された。術前に虚血性心疾患に対し経皮的冠状動脈形成術を施行後、胸腔鏡補助下に左下葉切除+リンパ節郭清が行われた結果、病理組織学的に本症例はStage IBの原発性肺平滑筋肉腫で、目下、術後2年経過で再発および転移はみられていない。