発行日 2012年11月1日
Published Date 2012/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013095088
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74歳男。乾性咳嗽、呼吸困難を主訴とした。経食道心エコー所見にて左房内に僧帽弁を狭窄する可動性の乏しい充実性腫瘤を認め、入院時血液検査、胸部X線、心電図各所見より、左房内腫瘍が左房から左室への流入を障害し急性心不全をきたしたと判断した。胸骨正中切開で右側左房切開を行ったところ、腫瘍は灰白色、弾性硬、分葉状、7×5×5cm大で左房の約2/3を占め、僧帽弁前交連部周囲の前尖、後尖、左房後壁に浸潤していた。術中迅速病理検査所見は肉腫で、完全切除はせず腫瘍の可及的切除を行った。病理組織所見、術後のRI検査、頭部CT、胸腹部CT各所見より心臓原発平滑筋肉腫と診断した。術後22日目より放射線治療を開始し、術後25日目に退院した。放射線療法は外来にて継続したが、術後76日目にCTにて腫瘍の増大を認め、術後8ヵ月目に急性循環不全にて死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012