発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012175456
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
78歳男。74歳時に大動脈弁閉鎖不全症でMosaic弁23mmを用いた大動脈弁置換術の既往があったが、発熱が出現して呼吸困難、血痰も生じた。CTで左胸腔内に90×45mm大の腫瘤を認め、肺膿瘍を疑ったが穿刺液の培養は陰性であった。MDCTでは大動脈弁位の人工弁直下の左室流出路から左冠状動脈主幹部の下面に造影剤の漏出を認め、仮性瘤を形成していた。仮性瘤破裂の可能性を考え、抗生物質治療で全身状態と感染徴候の改善を得た後に開胸術を施行した。人工弁を切除したところ、左冠尖と右冠尖の交連部寄りの左冠尖弁輪直下の左線維三角に5mm長の裂隙を認め、仮性瘤内へ開口していた。開口部周囲組織を郭清・洗浄した後、弁輪は上下方向に離開したが、組織は比較的強固でマットレス縫合により開口部を閉鎖した。St.Jude Medical Regent弁19mmをintra-annular位に縫着した。術後炎症反応は消退し、5ヵ月経過して感染徴候の再燃はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012